ほんの少しの勇気があれば
「あの、大沢くん!」


静かな体育館に、自分の声がこだましている。



「ん?」


いつもと同じように優しい笑顔を向けてくれる大沢くん。



もし、ふられたら、この笑顔見られなくなるの?

私に話しかけてくれなくなるの?


そう思ったら勇気がなくなって、臆病な私が顔を出す。


今のままでいいじゃない。


そう言っている、もう一人の私がいる。





“逃げてばっかりいても、何も変わらないんだよ”




そう、

逃げても、伝わらない
何も変わらないから




「あの、」

鞄の中に入っているチョコを取り出し、差し出した。



「受け取ってほしいの」



真っ直ぐ大沢くんを見ることが出来なくて、俯いたままの私の頭の上から聞こえた大沢くんの答えは





「ごめん」


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