ほんの少しの勇気があれば
嫌いだと思うのに……
なのに、大沢くんを目で追っている私がいた。
耳が、目が、彼を追う
言葉や、視線が頭を支配する
気にしない、そう思えば思うほど、彼を気にしてる自分が確かに存在していた。
大沢くんを好きだと認めることになったのは、秋にあった新人戦の後でのこと。
新人戦、大差で優勝した大沢くん率いる男子バスケ部。
大沢くんがシュートするボールは、まるでリングに吸い寄せられるようにスルリと入り、そのシュートが、無駄なものが何一つないくらい綺麗で見とれてしまう程だった。
流石だと思った。
みんなが認めるキャプテンなんだ。
女子がキャーキャー言う理由が分かったような気がした。