ほんの少しの勇気があれば
「あんなシュート出来るなんて、才能だよね」
なんて、大沢くんのシュートを思い出し、友達と帰宅途中、体育館にバスケットシューズを忘れたことに気付いて、一人、取りに戻ることにした。
もう、誰も居ないと思っていた体育館に、
“ボンッ、ボンッ”
とボールの音が聞こえてきた。
誰か、いるの?
そおっと体育館の扉を開けた時、目に飛び込んできたのは、
1人で必死にシュート練習して汗を流している大沢くんの姿だった。
才能だと思っていた。
あんなに的確にシュートを決められるなんて。
あんなに無駄な動き一つないシュートなんて。
そう思っていた。
だけど、その“才能”の陰には、人一倍の、“努力”があったんだね。
1人で必死にシュート練習している大沢くんを、ただ黙って見ていた。
こんなにも一生懸命な人をこれまで見たことなんてなかった。
一生懸命頑張っている姿が格好いいと思った。
誰よりも、格好いいと。