真紅の世界


「ユ、ユリウス……?」


さっきまで、とろとろに甘かったユリウスの機嫌が急に変わったことで、私の言葉が関係しているのだとすぐわかる。そうしてしまったのは自分のせいだとわかるから、余計不安に駆られる。


「サラ」


さっきまでの甘さは一切ない、糾弾するような厳しい声。
そんな風に呼ばれるのは初めてだった。

思わずビクリと身体を震わせた私に、ユリウスは容赦なく口を開いた。


「正直“魔界”と呼ばれるのは不愉快だ。 あちらの世界ではこちらの世界が“裏の世界”で“魔界”と呼ばれていることは知っているが、それはあくまで“あちらの世界”での考えにすぎない」

淡々と述べられる言葉たちは、言われて初めて気づくことばかり。
そしてそんなことにすら気づけずに、何も考えずに言葉にしていた自分が恥ずかしくて堪らない。

羞恥に顔が赤く染まる。

誰だって“魔”なんて付く名前は嫌に決まってるのに。

小説やアニメや私の日常の中では当たり前にあった“悪魔”や“魔界”や“魔族”という言葉たち。

当たり前にあったからと言って、そう呼ばれる人がどう思うかなんてそんなの考えもしなかっただなんて。穴があったら埋まりたい。

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