惑溺
「ほら、やっぱり由佳お前の事怖がってるだろ」
「はいはい、悪かったよ。
じゃあ俺これから仕事だから」
動揺する私をかばう聡史を見て、リョウは呆れたように肩を上げ歩き出した。
「西野!バイトもいいけどちゃんと勉強しろよ」
「はいはい」
振り向きもせず歩いて行くリョウの後ろ姿に聡史は苦笑いしながらも、優しい表情で見送っていた。
私はその二人の関係をまったく理解できないまま、立ち尽くす。
彼の後姿が遠ざかり見えなくなっても、私の足は動揺で小さく震えていた。