惑溺
 
『あぁ、いるよなぁ。
そういう冷たそうなくせにやたら女にモテる奴って。
でもその手の男なら由佳は安心だな』

「え?安心って?」

『由佳は優しい男が好きだろ?
由佳がそのバーテンに惚れる心配はないな』



そっか、私は優しい人が好きなんだ……。
別に今までそんな自覚はなかったけど、そう言い切られると妙に納得してしまう。
冷たくて威圧的な男なんて、いくらかっこよくても怖くて私は近づきたくない。

『……で、プロポーズなんだけど』

「あ、うん」

『別にすぐ結婚って訳じゃなくてさ、今からゆっくり準備して来年の今頃にでも結婚ってどう?
それまでは婚約者ってことで』

聡史の軽い口調になんだか気分が軽くなった。

来年なら私は24歳で聡史は30歳。付き合って1年で結婚。
年齢的にも付き合った期間としても、それは理想的な結婚かもしれない。
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