惑溺
「今更、こんな告白遅いかもしれないけど、俺は由佳の事が好きだ」
こんな情けなくて馬鹿な女に向かって、聡史はまっすぐにそう言った。
こんなに欠点だらけの私を、どうして好きだなんて言ってくれるの……?
はじめて聡史からぶつけられた、偽りの無い本当の気持ち。
「聡史、でも……」
まっすぐな彼の視線を受け止めながら、私がそう口を開くと、聡史が手で私の口をそっと塞いだ。
頬に触れたその指先が、冷たかった。
「もう一回チャンスをくれ。
また付き合おうなんて言わない。結婚の事も忘れていい。
ただ、友達としてでもいいから、もうすこし傍にいさせてくれないか?」
その冷たい指先が小さく震えていて、どうしようもなく泣きたくなった。