惑溺
 

「由佳……」

やめて。
優しい声で私の名前を呼ばないで。

リョウの声を思い出してしまうから。



耳を塞いで
目をつぶって
口を固く閉ざして

声をころして、私は静かに泣いた。

聡史に抱かれながら、心を殺して静かに泣いた。





聡史はそんな私を抱きながら、静かに顔を歪め、罪の刻印を押すように私の首筋に深く赤い印を残した。
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