惑溺
聡史はそう言った私の身体を、容赦なく床の上に押し倒した。
「…………ッ」
音をたてて冷たい床に打ち付けられた背中の痛みに、思わず小さく息が漏れる。
馬乗りになり、私の身体を押さえつけながら、聡史は自分のネクタイをむしり取るようにして外した。
玄関から続く細い廊下、硬く冷たい床の上。
散乱する荷物
脱ぎ捨てられた靴
乱れた服
音が響く玄関に、お互いの荒い息だけが反響し合う。
ここは壁が薄い教員住宅。
きっとこの声は、隣の部屋にも響いてる。
でもそんな事どうでもいいくらい、夢中で聡史と抱き合った。
夢中で抱き合う振りをして、身体中に残るリョウの記憶を忘れようとした。