惑溺
 

「三年前、先生にこのシュシュ渡された時、いくらなんでも鈍感すぎるだろって呆れたよ。
本当に何も気付いてなかったんだな」

俺が彼女の浮気相手だとも知らずに、笑顔でシュシュを渡す目の前の男を見て、自分が情けなくなった。

でも、先生が鈍感でよかったのかもしれない。
俺の子ども染みた執着のせいで、ふたりの仲が壊れなくてよかった。



無言でシュシュを見つめたままの由佳に

「結婚おめでとう」

そう言った。

< 340 / 507 >

この作品をシェア

pagetop