惑溺
本当は、私の事を考えていてくれたのが嬉しくて仕方ないのに。
もっと早く社員旅行の事を言えば良かったって、すごく後悔してるのに。
意地っ張りな私は、口では生意気な事ばかり言いながら
思いっきりリョウに抱きついて、裸の胸に顔を埋めた。
「ふーん。俺が悪いんだ?」
「そう、リョウが悪い。もっと早く言ってよ」
「本当、お前素直じゃないよな」
うんざりしたように言いながら、力一杯抱きつく私をゆっくりとなでる優しい手のひら。
リョウの体の温もりが心地よくて、ついウトウトしそうになっていると
「そういえば、明日の社員旅行って何時から?」
とリョウがたずねてきた。
「ええと、会社に11時集合でそれからバスで温泉に行くの」
ぼんやりしながら答えると、ぐるりと視界が反転した。