惑溺
 
そんな私の視線なんてお構いなしで、リョウは優雅な手つきでミネラルウォーターのボトルを開けグラスに注ぐ。
相変わらず無駄な動作が一切ない洗練された動き。
手元を見つめる伏し目がちの瞳。
綺麗な長い指。


水の入ったグラスを片手に近づいてきたリョウが

「そういう所、相変わらず変わらないな」

と私を見下ろして微かに目を細めた。

「……そういう所って?」

手渡されたひんやりと冷たいグラスを両手で受け取り聞き返すと

「そうやって、俺を見る表情。4年前から変わってない」

ソファーに座った私と視線を合わせるように屈むと、顔にかかっていた私の髪をゆっくりと耳にかけてまっすぐに見つめた。

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