惑溺
 








「このゴミ袋に、女物全部入れちゃって」




素っ気なく言った彼の言葉に、私は渡されたゴミ袋をもったまま唖然とした。

「あの、女物って……?」

「部屋のあちこちにあるだろ。
全部捨てていいから。分かんないのは俺に聞いて」

リョウはそういいながら、AVラックに並んでいた、女の子が好きそうな小さな雑貨を遠慮なくゴミ袋に放り込む。

モノトーンでシンプルなリビングをよく見ると、所々にマニキュアやファッション雑誌なんかがさりげなく紛れ込んでいた。


確実に女の子と一緒に暮らしていた気配……。
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