惑溺
 


「……由佳」



耳元でリョウが囁いた。







うっすらと目を開けると、滲んだ視界にリョウの顔が映る。
まだ、ぼんやりとしたまま何度か瞬きを繰り返すと、リョウが小さく笑って私の頬にはりついた髪を優しくかきあげた。


私……。
いつの間にか、寝てたんだ。

見渡せば、見慣れたリョウのお店。
きっとリョウが運んでくれたんだろう。
奥のボックス席のソファーに、タオルケットをかけて横になっていた。
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