惑溺
仕方なくゴミ袋を手にリョウの言うとおり彼女が残した物を探すと、驚くほど色々出てきた。
わざとこの部屋のあちこちに自分の痕跡を残そうとしたみたいに、ピアスや甘い香りの残る小さな香水の瓶、グロスなんかが次々に出て来た。
「はぁ……めんどくさい」
片方だけ残された小さなピアスを拾いながらつぶやくと、
「面倒だから手伝ってもらってんだろ」
と、リョウに睨まれた。
それにしても、ほとんど初対面の相手に別れた彼女の荷物の整理なんてさせないでしょ普通……。
「私より、喜んで手伝いそうな女の子はいくらでもいるんじゃない?」
もうこんな意地悪な奴に丁寧に敬語を使うのも馬鹿らしくて、乱暴にそう言ってリョウを睨んだ。