惑溺
 
「じゃあ、私が勘違いして彼女ヅラしたら困るでしょ?
私に手伝わせないほうがいいよ」

少しでも早く帰りたくてそう言うと、リョウはチラッと私を見て笑った。

「いくらなんでもプロポーズされたばっかりの女が、他の男に付きまとったりしないだろ」


―――――ッ!?

「な、なんで私がプロポーズされた事を知ってるの!?」

もしかして、あの手帳の中を見られた!?
その日にあった出来事から、小さな悩みや愚痴までぎっしりと書き込んだ手帳。
まさかそれを読まれた!?



「なんでって。昨日店で話してただろ?
あんな大声で話してたらいやでも聞こえたよ」



あ……。

カウンターで博美と話し込んでいた昨日の事を思い出す。
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