惑溺
 
私はその手紙に込められた、狂おしいほどの情熱に圧倒されて目眩がした。

一昨日までこの手紙を書いた女の子がここで暮らしていて、目の前にいるこの男の人をこんなに激しく愛していたんだ……。

まるで映画の様な恋愛がこの場所で実際におこっていたなんて。
手紙に残された彼女の激情と、どこか冷めた今のこの部屋の空気のギャップに、なんだか信じられなかった。


「そんなに驚くなよ。すこし独占欲の強い女だったんだよ」

黙り込んだ私に向かってリョウはなんでもないように、サラリと言った。

「少し!?」

これで、少し?
かなり激しいでしょ、これは。

私にはこんなに激しい想いを相手にぶつけるなんて、とても考えられない……。
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