惑溺
 
残された手紙をなんの躊躇いもなくゴミ袋に捨てるリョウを見て、不思議に思う。
この女の子はこんなにもリョウを愛していたけど、リョウも同じように思っていたのかな……。

クールな表情しか見せないリョウが、こんなに激しく女の子を愛すなんて、とても想像が出来なかった。

「ねぇ、リョウもこの子の事を愛していたの?」

私の唐突な質問にリョウは笑う。

「なんだよ、それ」

「だって、こんなに愛されてたって凄くない?」

「普通だろ」

「全然普通じゃないよ!」

平然と思い出の品を捨てるリョウを見て思う。
この人はきっと、こうやって愛される事に慣れてるんだ。
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