taitoru
第一章[契約]
暇を持て余すように急かして、悪魔は私を黒いテーブルとセットの黒い椅子に座らす。そして、まるで遊園地にでも行く子供のように、にこにこと笑って見せた。
「トランプ、しましょう!」こんな幼い彼を見たのは初めてだ、と言いたいところだが、この悪魔とは数分程前に出会ったばかりなのだ。しかも出会って突然、「私は悪魔だよ」などと言われ、訳のわからない事を沢山言われたと言うのに。
どうして、こんなに親しく接してトランプ遊びをしようとしているのだろうか!
私がそうやって独り怒りのように湧き上がる感情を宥めている時、やはりにこにことした彼は黒いテーブルに何処からか取り出したトランプを広げる。と同時に、先程のにこにことした表情から変わり、くすくすと笑った。
「私の名前は朽翅。宜しくね?」黒い手袋を嵌めた大きな手を差し出してきた。おずおずと、私も手を差し出し、握手する。悪魔のユビは長くて綺麗だった。そういえばこの悪魔も、整った顔立ちで――そう思うと急に恥ずかしくなって、ぱっと手を離した。悪魔はにっこりと笑っている。
「とりあえず、トランプ定番のババ抜きでもする?」この悪魔はそんなにトランプがしたいのだろうか。そう思っても、「うん」とし
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