お嬢と使用人
「じゃあ将大さん、あとはよろしくね」
「ちょ、おばあちゃん、どこ行くの?」
「私は明日からお友達と旅行♪」
振り向かずに手をヒラヒラして、おばあちゃんは自分の部屋に行ってしまった。
「な……なん……」
なんなのよ……。
「……あ、二泊三日の温泉旅行だって。グラウンドゴルフ?の仲間とだとか」
佐藤さん……くん?
佐藤くん……は、ボソッと呟くように教えてくれた。
「え……もしかして、あなたと二人きり……?
じゃ、ないよね?え?この家に住むの?」
私は動揺を隠せないでいた。
そのうろたえっぷりにクスッと笑い、佐藤くんは、
「……いや?」
と、かがんで私の顔を覗き込んできた。
……いっ、
いやとか……
「そーゆうんじゃ……」
ないけど……………。
「ならよかった」
あまり男に免疫のない私には過酷な試練のように思えた。