お嬢と使用人

残りの夏休みの過ごし方




次の日。

おばあちゃんは朝早くに出掛けていった。


私は見送りもせず……昼過ぎに目が覚めた。












キッチンに降りていくと、


「おはようございます」



「あ……おはよう……ございます?」



まだ少し寝ぼけた状態の私は、将大くんのことをすっかり忘れていた。


この人誰だろう、なんてぼんやり考えていると、


「ごはん作るね。おなか空いてるでしょ?」



将大くんのその笑顔で昨日のことを思い出した。



「……え、料理できんの……?」



全くできない私が言えたことじゃないけど。






















……私が思っていたよりもだいぶ手際よく、


盛り付けなんかも超きれーい!


黒いサロン姿がすごく似合っていて、少し長い前髪をピンで留めているのに可愛さよりもかっこよさが勝っていて……



じゃなくてっ




女の私ができなくてどーする。



惚れるとかどうこうよりも、危機感を覚えた。




「デザートもあった方がいいね。

果物とかけっこうあるけど、なにが好き?」



テーブルの上のフルーツバスケットからリンゴを一個取り、皮をむきながら聞いてきた。



「……あ、リンゴ、好きです」










……………って、



そうじゃなくてっ。










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