ランデヴー II
「それに……倉橋君のことは……? もう、忘れられたの?」


不意に佐和子の口から倉橋君の名前が出てきて、一瞬胸がドキッと弾んだ。



倉橋君とは……既に別々の道を歩んでいる。


今更何がどうなる訳ではないし、もう終わったことなのだ。


始まることさえなかった恋愛は、賢治との恋とは比べようもない。


今の私にとっては、倉橋君への気持ちよりも賢治との関係の方が大事だ。



「あのね、佐和子……」


私はゆっくりと口を開いた。


私が今抱いている賢治への想い、自分の気持ちをきちんとわかってもらいたかった。


沢山支えになってくれた佐和子には、知って欲しい。



「私、クリスマス楽しかったんだ。ずっと1人だったから……。プレゼント渡したり、もらったり……ディナーしたり」



そう――。
賢治とのクリスマスは、本当に素敵なひとときだった。



私からの賢治へのプレゼントは、ネクタイにした。


何かと出張の多い賢治はスーツを着ることも多い。


だからそういう時に合うものをと、少し値の張るブランド物のネクタイを選んだ。
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