ランデヴー II
「ねぇ、もしかして……紗英ちゃん、好きな人ができたとか?」


「え! な、何でわかるの!?」


やっぱり……。


紗英ちゃんは両手で頬を押さえながら「恥ずかしいー、片思いなんだけどね」と潤んだ瞳で俯いている。


それを見て、紗英ちゃん可愛くなったなぁ……と思う。



恋をすると、女は綺麗になる。


彼女はまるで、そんな世の女性達の法則を現しているようだった。



「その恋、上手くいくといいね」


「有り難う、頑張るね」


心の底からそう言うと、紗英ちゃんは嬉しそうに「うふふ」と笑いながら、ミーティングの資料を手帳に書き写し始めた。



その浮かれた姿は、私に過去の自分を彷彿とさせる。


陽介と付き合い始めた頃、私にもそんな時期があった。


総務部内では辛いことが多かったが、それでも仕事を前向きに頑張ろうと思えたのは陽介のお陰だ。



久しぶりに、彼のことを懐かしく思った。


彼は今も宣伝部で頑張っているはずだ。
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