ランデヴー II
「あの、それ……もしかしたら俺のせいかもしれません」


突然そう言われ、私は驚き顔を上げた。


同じく私に視線を移した倉橋君と、目が合う。



少し困ったような顔をした倉橋君に、私は戸惑った。


紗英ちゃんの行動と倉橋君の言うことが、さっぱり結びつかないからだ。



「どういうこと?」


「その、つまり……。実は俺、この前の歓送迎会で今村さんと隣になって。俺の後を引き継いでるって言われたんで、『もう慣れましたか?』って尋ねたんです。そしたら、『仕事は難しいし、上手く人と話せなくて辛い』って言われて……」


私はそれを聞き、グッと唇を噛み締めた。



彼女は私に辛いなんてこと、1度も言ったことはなかった。


「大丈夫?」と尋ねると「大丈夫です」という答えしか返ってこないし、「困っていることはない?」と尋ねても「特にないです」と言われた。



それなのに倉橋君には弱音を吐いていた……それが少しショックだった。


同性で日々顔を合わせる私より、初めて話す異性にそんなことを言っていたなんて。



そう感じていたのなら、ちゃんと話して欲しかった。


あの頃の彼女にとって、私は頼れる存在ではなかったのか……?


そう思うと、地味に落ち込んでしまう。
< 154 / 408 >

この作品をシェア

pagetop