ランデヴー II
その姿が引っかかりながらも、私は立ち上がり倉橋君に背を向けた。


全く、どっちが頑固なんだか。


「ごめんね、行こう」と紗英ちゃんに声をかけて部屋を出ようとすると、彼女は「あ……」と小さく声を発して部屋の中を覗き込むようにした。


紗英ちゃんの肩が、小さく私にぶつかる。



「倉橋君、今日の夜また電話してもいい……?」


その言葉に驚いた私は、紗英ちゃんに顔を向ける。


至近距離で見る彼女は頬を少し赤らめ、期待に満ちたような目をしていた。



2人は――プライベートでも連絡を取っているということ……?


心がザワザワと揺れ、ドクドクと鼓動が胸を打つ。



「あ、はい……」


倉橋君の返事を背中で聞きつつ、私は廊下に出た。


その後ろを少し遅れた紗英ちゃんが、やや小走り気味についてくる。



「榊原さんに呼んで来いって言われたの」


「そう……」


ボタンを押してエレベーターを待つ間、ゆるりと彼女が私に微笑んだ。
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