ランデヴー II
でも……そんなことは無理だったんだ。


成就しなかったあの時の気持ちをなかったことになんて、本当はできるはずもない。



彼の憂いを帯びた瞳も、優しさも、何もかも全て。


忘れてなんかいない。


私は……私も、倉橋君のことが――。



「私ね、ゆかりちゃんと守山さんみたいな素敵なカップルにすごく憧れてるんだ。私も倉橋君とそんな関係になりたいな、って……。お願い、ゆかりちゃん」


溢れ出す自分の気持ちを認めたその時、紗英ちゃんの言葉で心臓がドクンと脈打った。



そうだ……私には賢治がいる。


逃げて流れに身を任せた結果が、ここにある。


私は賢治と生きていくって、決めたんだ……。



軽く首を傾げた紗英ちゃんにじとっと見つめられ、私は「……うん」と頷いた。


そうするしかなかった。



本当は嫌だ。


倉橋君と紗英ちゃんが2人並ぶ姿を想像しただけで、心がバラバラに砕けそうになる。
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