ランデヴー II
もしもまた紗英ちゃんが担当について私情を交えた意見を出すようなことがあれば、きちんと言って聞かせなければならないだろう。


何となくそう考えつつ気が重くなっていると、「ゆかりちゃん、トイレ行かない?」とお誘いの言葉が隣から聞こえてきた。


見ると、紗英ちゃんは既に席を立ち準備万端の様子だ。



「あ、ごめん。私ちょっとやることあるから」


「そっか……」


特にやることなんてないがそう言って断ると、紗英ちゃんは残念そうに呟いて1人で席を離れて行った。



紗英ちゃんは相変わらず、私と行動を共にしたがった。


だが販売戦略部へはコッソリと1人で通っているようで、同じフロアの同期から「彼女、どういう人?」と聞かれたことがある


「用もないのにウロついて、その辺の女子から煙たがられているよ」と。



恐らく目的は倉橋君で、以前見た前田さんと同じ行動なのではないかと思った。


あの頃、私も前田さんに対して「暇なのかな」と思っていたが、それと同じことを彼女が思われていると思うと心外だ。



だって、私達はそんなに暇ではない。


事実そのせいか、紗英ちゃんは最近残業が増えている。
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