ランデヴー II





その日は朝から雨だったから、何となく少し早めに家を出た。


ちょうど2月の締め日が間近で、冷たい雨の中傘をさしながら歩く会社までの道のりは、憂鬱な気分だった。



会社に着くと傘をたたんで社員証を見せつつ中に入る。


社内は暖かく、それだけで幸せな気分になった。



エレベーターを待つ間、知り合いと「おはようございます」と挨拶を交わす。


「今日も寒いねー」なんて天気の話をしながら、自分のフロアへと向かった。



本当に、普通の日だった。


始まり、は。



だがカードキーで扉を解錠し、入り口付近にある機械に社員証をかざした時だった。



「ピッ」と出社時間を刻む音と共に、何の前触れもなくグイッと肩を掴まれた。


乱暴な振る舞いに何事かと顔を向けると、同時にガツンと何かに殴られたような激しい痛みが頬に走る。


無防備な私は為す術もなく、壁にドンッと叩き付けられた。
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