ランデヴー II
そんな私に、紗英ちゃんは更にたたみかけるように口を開く。



「私全部聞いたんだから! 本当は私のこと、心の中で笑ってたんでしょ!?」


喚きながら涙を流し、紗英ちゃんは私に掴みかかった。


壁にドンと押し付けられた肩を揺さぶられ、されるがままにガクガクと体が揺れる。



「協力してくれるって言ったのに……ゆかりちゃんだから全部話したのに……。私……絶対に許さないから!」


紗英ちゃんはグッと目元を拭うと、そのまま廊下へと出て行ってしまった。


後には好奇の目に晒される、私が残っただけ。



怒りや悲しみ……よりも、私の心に強く植え付けられたのは、恐怖だった。


気付くと竦んだままの体は小さく震えていた。



こんなにも強く他人から叩かれたのは、初めてのことだ。


しかも、数日前までは確かに私に『親友』と言ってくれていた人に。



だが……それは一方的なもので、それを何も言わずに黙って受け入れるフリをしたから、罰が当たったのかもしれない。


何も言えなかった私は、もしかしたら叩かれて当然なのかもしれない。



そう思わせる程に、紗英ちゃんの行動は私に凄まじいダメージを与えた。
< 186 / 408 >

この作品をシェア

pagetop