ランデヴー II





会社を出ていつもの店へと足を向ける私の腕を、モリケンが後ろから引き止める。



「え、何? こっちじゃないの?」


「いや、今日はイタリアン。お前行きたいって言ってたとこあっただろ?」


「あー、あそこか。いいね、行く行く」


大抵私達が帰りに行くお店は、決まっている。


比較的安めだが料理はそれなりに美味しい、駅前にあるチェーン店の居酒屋だ。



だが最近オープンしたばかりのイタリアンのお店に行ってみたいと以前私が言っていたことを、モリケンは覚えていたらしい。


私は少し浮かれた気持ちで方向を変え、モリケンと肩を並べた。



「そう言えば、そっち新しい派遣さん来るんだよね? 歓送迎会の幹事ってモリケンがやるの?」


モリケンの課には、受発注のインプット要員として派遣社員の女性が2人いる。


そのうちの1人が来月から入れ替わると聞いていた。
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