ランデヴー II
「考え事? 何回も呼んだんだけど」


「え? あ、ごめん。何?」


私はドキドキと鳴り響く鼓動を感じながら、取り繕うようにして笑って見せた。



最低だ……賢治と2人でいるのに、いつの間にか倉橋君のことを考えていた。


いや、今だけじゃない。


倉橋君への想いに気付いたあの時からずっと、私の頭の中は彼のことでいっぱいなのだ。


紗英ちゃんよりも、賢治よりも、誰よりも……何度も名前を呼ばれても気付かない程に。



もはや週末に賢治の家で過ごすことは、私たちの間では当たり前になっている。


今日も私が作った食事を2人で食べ、片付けを終え、テレビを見ながらまったりとした時間を過ごしていた。


私はソファーに寄りかかり、賢治はそのソファーに腰掛けて。


だがそんなのんびりとした時間が、余計に私の意識を他所へとさらっていく。



私はあの日紗英ちゃんに叩かれたことを、出張で終日不在だった賢治には話せずにいた。


私達の関係がみんなに知れ渡ってしまったことだけは話したが、1人に話したら広まってしまったと嘘を吐いた。
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