ランデヴー II
紗英ちゃんのことを上手く説明できる自信がなかったのだ。


1つ話すと更に嘘が増えそうで、正直に話すと気持ちがバレそうで……怖かった。


だが……。



「なぁ、何で黙ってたんだよ? 今村さんと揉めたって聞いたけど?」


突然そう問われ、一瞬ぎくりと冷や汗が滲む。



「え……?」


「課長にその話されて、知らないって言ったらビックリされた」


「あ……ごめん……。何か……自分でも整理つかなくて、あんまり人には話せなくて……」


しどろもどろに、でもすらすらと言い訳が出てくることに驚く。


同時に、そんな自分を嫌悪した。



いや、私は悪いことはしていない。


ただ、賢治に知られたくない気持ちがあるだけだ。


そう心の中で言い訳するも、後ろめたさは消えない。



「いや……悪い。叩かれたこと、ショックだったんだろ? でも俺には言いたいこと言えって言ったじゃねーか」


賢治はそう言いながらソファーから降りて隣に座ると、私の体をギュッとその腕の中に抱き寄せた。
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