ランデヴー II
『結婚』の2文字を面と向かって言われたのは、これが初めてのことだ。


もしかして、プロポーズ……なのだろうか。



ドキドキと高鳴る胸の裏側で、チクチクと針に刺されているような気分だった。


それは「嬉しい」ではなく、「どうしよう」という気持ち。


戸惑うしかない自分が、ものすごく嫌だ。



倉橋君を忘れて、賢治とずっと一緒にいたいと思った。


彼となら、幸せになれると……なりたいと思ったはずなのに。



それなのに……それなのに私は……。


賢治に対して、以前ほどの愛情を持てなくなっていると。


『結婚』という言葉を出されたことで、わかってしまった。



確かに流されるように始まった恋だった。


でも一緒にいて楽しいと思えたことは事実だし、幸せだと感じていたあの気持ちも嘘じゃない。



どうしてこんなことになってしまったのだろう。


自分の気持ちがどれだけ浅はかで軽いものだったのかと、呆然とする。


倉橋君と再会してから、色んなことが少しずつ変わってしまった。
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