ランデヴー II
もしもこのまま賢治の手を取れば、今私を取り巻く全てのことから解放されるのだろうか。


いや……それでも私は悩み、苦しむのかもしれない。


消えない倉橋君への想いに……。



そこまで考えてふるふると首を振り、髪の毛をくしゃくしゃと掻き混ぜる。


そのまま目を覆うと、真っ暗な暗闇に包まれた。



心の中で、賢治と2人の生活をイメージしてみる。


優しい彼と、ゆるゆると平和な時間を過ごす。


もしかしたら私は仕事を辞め、専業主婦になっているかもしれない。


そのうち子供も生まれるだろう。


成長していくその子を見守りながら、年老いていくまで仲睦まじく暮らしていくのだ。



……うん、悪くないかもしれない。


そうして賢治と一緒の時間を過ごしていれば、きっと日々の流れの中に埋まり、余計なことなど考えずにいられる。


賢治のことだけ見つめられる。



そう暗示をかければ、だんだんとそんな気もしてきた。
< 217 / 408 >

この作品をシェア

pagetop