ランデヴー II
「いや……別に。大丈夫」


賢治はそう言ってぎこちなく笑うと、さっき聞いた時と同じ反応を繰り返した。


でもとてもじゃないが、そんな風には見えないのに。


私は遂に溜息を吐き出すと、手にしていたスプーンをテーブルに戻した。



「別にって感じじゃないから聞いてるのに。何かあるなら言って? せっかくの食事も、賢治がそんなんじゃ楽しくないよ……」


不満を口に出せば責めているような言い方になってしまい、私は少し後悔して唇をキュッと噛み締める。



見ると賢治は眉根を寄せ、何だか浮かない顔をしていた。


だが彼も手を止めて水を一口飲み込むと、小さく息を吐き出す。



「じゃぁ、言うけど……」


「うん」


話そうとしながらも若干まだ迷っている様子の賢治を見て、緊張が走った。


何だか良からぬことを言おうとしているのがわかったからだ。



話せと言ったのは私の方なのに、そんな空気を醸し出されると内心ビクビクしてしまう。


そんな私に、賢治は少し視線を鋭くさせて口を開いた。
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