ランデヴー II
その言葉に、私が心穏やかではいられるはずもない。


一方的に決めつけられ、賢治に対して信じられない気持ちでいっぱいになる。



「付き合ってない! 本当に――」


「だから。隠すなって言ってんだろ? 隠されると、余計怪しく見えんのがわかんねーのかよ?」


「待ってよ! 本当に何もないのに!」


心のままに吐き出し、ハッとした。


興奮して声が大きくなっていたことに気付いた私は、気まずい気持ちになってしまう。


グッと押し黙ったものの、賢治の体越しに他のお客さんからの視線をチラチラと感じると、一気に恥ずかしくなった。



こんなはずじゃなかった。


今日は楽しく誕生日を祝ってもらい、これからの生活のことを一緒に話そうと思っていたのに……。



賢治も黙りこんでしまい、2人の間には一転沈黙が流れていた。


さっきまで美味しく食べていたはずのブラッドオレンジのシャーベットが、下に敷かれたパイの上で溶けて水溜まりを作っている。


その光景に冷めてしまった空気を感じて、何だか悲しくなった。
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