ランデヴー II
「ごめん……」


俯き途方に暮れる私に、賢治が一言ボソリとそう口にする。



謝るくらいなら、そんな風に責めなければいいのに……。


そう思いかけ、言わせたのは自分だったと気付く。



様子がおかしい賢治に理由を問いただしたのが自分であれば、そもそもの発端を作ったのも自分だと。


彼は心の中で何とか疑惑を呑み込もうとしていたのに、それを私が無理矢理ほじくり返した。


話す前にあれ程躊躇していたのが、何よりの証拠だ。


でも……私の心には疑問が沸々と浮かぶ。



「何で急に倉橋君なの? 本当に何でもないのに……」


チラっと視線を向けてそうこぼすと、賢治は視線を彷徨わせた。


そして、ボソッと小さな声で呟く。



「……今村さんに言われた」


賢治の言葉に、ドクンと大きく胸が波打った。



紗英、ちゃん……?


思いも寄らない人物の名前が出てきて、思わず目を見開く。
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