ランデヴー II
紗英ちゃんとのことも、賢治にはきちんと話せなかった。


結婚の話を出されて、迷ったりもした。


そんな私が賢治に疑われるのは、仕方がないことなのかもしれない。



でも……私はそれでも賢治の傍にいることを選んだのに。


賢治と一緒に暮らそうって、決意したのに……。



私はキュッと震える唇を噛み締める。


どう、説明すればいいのかわからない。


何を言えばわかってもらえるのか、わからないのだ。



「何か……言ってくれよ……」


悲痛な面持ちで私を見る賢治を見ていると、泣きたくなってくる。


でもこんな所で泣いたら、紗英ちゃんの言葉を全て認めたことになる。


私は涙をグッと堪え、口を開いて息を吸い込んだ。



「何も……言うことなんてないよ。賢治が信じてくれないのなら、それは言っても仕方のないことだから」


ポツリと言葉にすると、重苦しい空気がその場に漂う。
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