ランデヴー II
「彼女が……何て……?」


「何、って……そのまま。お前と倉橋が過去に付き合ってて、今も陰でコソコソ連絡取り合ってるけど、野放しにしてていいのか、って……」


私は信じられない思いで、首を小さく振った。



まさか紗英ちゃんがそんなことを賢治に吹き込むなんて。


しかも、そんなものは事実無根だ。



「そんなの……賢治は信じたの? 私の言葉よりも、彼女の言葉を信じるの……?」


冗談みたいな話に、おかしくもないのに笑えてくる。


紗英ちゃんの言葉よりも私のことを信じて欲しかった。



「俺は……俺だって、お前のこと信じてーよ。でも、確かに……。前に忘年会の帰り、お前と倉橋の間に妙な空気を感じたのは事実だし。それに、何もないのにお前と今村さんの間がここまでこじれるなんて、おかしいだろ? 彼女と揉めたことも、お前隠そうとしてたよな?」


「…………」


私は何も言い返せなかった。


心臓が早鐘のように打ち付け、後ろめたい気持ちでいっぱいになる。



確かに……最近の私の心の中は、賢治には見せられないことだらけだった。


賢治といながらも、倉橋君のことを考えていた。
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