ランデヴー II
紗英ちゃんはあんなことがあった後も、私と話さないこと以外は至って普通だった。
倉橋君に何事もなかったかのように話しかけている所を見かけたし、髪型や服装も何ら変わりはない。
私が叩かれたことが、まるで外れくじでも引いてしまったかのように感じる。
そんな紗英ちゃんときちんと話をしようと決めたものの、彼女が私を避けている以上容易なことではなかった。
それに、他の人達もいる所でするような話ではない。
2人きりで話ができれば……そう思った私は、紗英ちゃんが財布を手に席を立つのを見て、少し待ってからカフェテリアへ向かった。
恐らく、18Fへ休憩をしに行ったのだろうと予想したからだ。
カフェテリアへ行くと、案の定奥の4人掛けのテーブルに1人ぽつんと座る彼女の後ろ姿を見付けた。
近付くと、チョコを頬ばりながらぼんやりとしている。
私は躊躇うことなく、「ここ、いい?」と声をかけて隣に座った。
彼女は一瞬驚いた顔で私に目を向け、そして視線を泳がせて席を立とうとする。