ランデヴー II
悪いことをしたという自覚は、あるのかもしれない。


そう思ったのも束の間、紗英ちゃんは不意にその目を鋭くさせて私を睨み付けた。



「ゆかりちゃんが悪いんじゃん」


「……え?」


ストレートに非難の言葉を向けられ、私は戸惑うしかない。


目を見開いて紗英ちゃんを見つめる私に厳しい視線を向けながら、彼女はさっきまでの弱々しさが嘘のように滑らかに語り出した。



「変なこと言ったの、ゆかりちゃんの方でしょう? 私が倉橋君に何て言われたか知ってる? 「今村さんは、坂下さんにはなれない」って……彼、そう言ったんだよ? ゆかりちゃんが言わせたんじゃないの? そうに決まってる。だって彼が私にそんなこと言うなんて、おかしいもん」


「ちょっと待って、私は何も言ってないよ?」


まくし立てるようにして詰め寄られ、私は困惑した。


それは私が言わせたことではないし、むしろ私は倉橋君を止めたはずなのに……。



「とぼけないでよ。好きな人から自分のことを否定された私の気持ち、わかる? それに……ゆかりちゃん、私に隠してることあるでしょう?」


「……え?」


紗英ちゃんの言葉に、私はドキッとした。


もしかして……私の倉橋君への気持ちに気付かれたのではないかと思ったからだ。
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