ランデヴー II





席に戻ると、私は黙々と仕事をこなした。


紗英ちゃんはきちんと話をする前に比べると態度が軟化したとは思うが、それでも仲良く話すまでには程遠い。


私は時々大地さんと雑談を交わしつつ、通常業務に加えて月末の棚卸しの準備や決算に備えて経理に送るデータ作りに追われていた。



そしてふと気付くと、時計は既に22時を回っていた。


最近は毎日こんな調子で、終わらない業務を無理矢理切り上げて帰る日々が続いている。


紗英ちゃんは少し前に退社し、周囲には人もまばらだ。



会社に入って6年が経つが、人は偉くなればなる程自由になっていくような気がする。


それはもちろん部長課長クラスの人達が私達と同じ仕事をするはずがないが、チーフの榊原さんですら何だかんだと理由を付けながら早く帰って行く。


私のようにいつまでも底辺の働き蟻達は、拒否することもできずにただ忙しく仕事をするだけ――。



研修を受けてそれなりにキャリアを身に付けても、この部署にいる限り私の立場は変わらないだろう。


かと言って別の部署に移った所で、それこそ何も変わらない。
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