ランデヴー II
確かに彼なら私がいつもこの席を好んで使っていることを知っているだろう。


だからと言って、そんな短絡的な考えは馬鹿げている。


倉橋君が私と話をしたかったなんて……そんなのはただの自分勝手な願望。


そもそも私だっていつもここに来ている訳ではないし、会えるとは限らないのだ。



でも何か話したいことがあったのではないかという考えは、拭っても拭いきれずに、私の心にもやもやと霧を作る。


もっとちゃんと話を聞いてあげるべきだったのではないだろうか。


悩んでることがあるのなら、耳を傾けるべきだったのではないのか。



そこまで考えると、私は額に手を押し当てて「はぁ……」と溜息を吐いた。


全ては私の想像でしかない。


それでも今の私はどうすればいいのかわからず身動きが取れなくなり、色々なことからがんじがらめにされている気がしていた。



悩みを聞いて欲しいのは、私の方だ……。


だがこんな話誰にもできるはずがないし、全てを知っている佐和子にさえ上手く話せるかどうかわからない。



そうして私は、良く晴れた青空を眺める。


倉橋君と初めて出会った季節が、またやってくる……。


そんなことをぼんやりと考えながら、眩しい光に小さく目を細めた。
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