ランデヴー II
「坂下さんは迷惑かもしれないけど……。やっぱり俺は、今でも忘れられなくて……」


倉橋君が何を言おうとしているのか、私は全くわからずにいた。


ただただゆっくりと話をする倉橋君のその空気に浸り、耳を傾けているだけ。



彼の指は髪の毛を滑り、より一層深く私の体を抱き締める。


そして不意に私の首筋に顔を埋めるようにして、熱い吐息で私の胸を震わせた。



「あなたが、好きです。今までも、これから先も。きっと……ずっと」



一瞬彼が何を言っているのか、わからなかった。


とくん、とくん、と。


お互いの心臓の音が混ざり合う。



身動きもできずに倉橋君の腕の中で目を見開く私は、きっとさぞかし間抜け面だろう。


あまりにも突然のことで、息をすることも忘れてしまう程に放心状態だったのだ。



そっと……倉橋君がそんな私から体を起こして離れていく。


その顔はひたすらに穏やかで、いっそ清々しさすら伴う。
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