ランデヴー II
何も言えずにぽかんと倉橋君の顔を眺める私を見て、彼はクスッと笑った。



「じゃぁ俺、帰りますね」


「……え?」


突然の別れの言葉に、動揺が走る。


今この人、私に告白したはずだよ……ね?


何1つ噛み砕くことができずに驚いている私を置いて、倉橋君はコートとカバンを手に部屋を出て行こうとした。



「あ……ちょ、待っ、道わかるの?」


「大丈夫です、マップ見ますから」


そう言ってひらひらと振られた手には、どうやら倉橋君も変えたらしいスマホが握られていた。


便利な世の中になったものだ……と、感心している場合ではなく、私は慌ててその背中を追いかける。


目の前で閉まりかけた玄関のドアを、思い切り開け放った。



「待って……!」


私を、好きだと。


今までも、これからも、ずっと……。


後悔したくないからと……そう、言った。
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