ランデヴー II
「馬鹿だね」
朝早い時間にも関わらず、泣きじゃくる私の話を根気強く聞いてくれた佐和子は、開口一番こう言った。
いい加減泣き止んで鼻をぐずぐずしていた私は、何も言い返せずに押し黙る。
「だから言ったでしょう? 悔やんでも知らないって」
「だって……」
そう、確かに佐和子は言っていた。
『逃した魚は大きかったって悔やんでも、もう遅いんだよ?』と。
その時の私の返事は『大丈夫、悔やまないから』だっただろうか。
本当はあの頃から、倉橋君の存在は私の中で日に日に大きくなっていたというのに。
いや、本当は既に後悔していたのかもしれない。
それを認めたくなくて、強がっていただけだ。
佐和子に正直に話すことをせず、自分自身すらをも騙して。