ランデヴー II
それに、恋愛に失敗したばかりの私が都合良く傍にいてくれる倉橋君に甘えたとして、果たしてそれが上手くいくのだろうか……。


あの頃は、そんな風に考えていた。



『でもさ、人にどう見られたっていいじゃん。尻軽だっていいじゃん。言ってしまえばそれが人生の全てって訳でもないんだから、お試しだっていいと私は思うんだよね』


確かに。


佐和子の言っていることは、わかる。



でも……人ってそんなに簡単じゃない。


自分が幸せになる為に見栄も外聞も気にしないなんて……私の中にはそんな生き方が存在しないのだ。



『もしも上手くいかなかったら別れればいいだけのことじゃない? 相手を傷付けるかもしれないなんて、そうなる前から考えてどうするの? 心のままに、思うままに動いて、恋愛して、傷付いて……それのどこが悪いのよ』


「でも……」


『ゆかりはさ、結局自分に正直になれてないだけなの。変なプライドに押さえつけられて、逃げてるだけ。香川さんと付き合ってる時だってそう。2番目でいいとか我が儘は言いたくないとかそんなことばっかり言ってたけど、本当の自分の醜い本心とか汚い姿とか、見せてないでしょう?』


佐和子にそう言われ、内心ドキッとした。
< 314 / 408 >

この作品をシェア

pagetop