ランデヴー II
私はそんな気持ちを振り払うようにして、榊原さんの引き出しをゴソゴソと漁った。



彼の言う青いクリアファイルは、すぐに見つかった。


私はそれを近付いて来た倉橋君に手渡し、「これ?」と尋ねる。



「はい、これです。有り難うございます!」


嬉しそうに声を上げる倉橋君の姿に、私はほっと胸を撫で下ろした。


これで恐らく今日中に提出できるだろう。



私はデスクに戻ると受話器を上げ、保留を解除した。



「榊原さん、ありました。処理しておきますね」


「サンキュ、よろしくな」


通話は軽いお礼の言葉と共に、何の余韻もなくブツッと切れた。


もう少し済まなそうにしてくれてもいいじゃないかと思うのは、高望みだろうか。



そのおざなりな対応に軽く溜息を吐くと、私は倉橋君から再び書類を受け取った。


たいした金額ではないが、来月に持ち越してしまうと経理に怒られることは必至だ。
< 336 / 408 >

この作品をシェア

pagetop