ランデヴー II
「本当に……坂下さんは、ずるい」


「え?」


「あんまり俺に妬かせないで……」


潤んだ瞳で弱々しくそう言い、彼は小さく顔を傾けて私に口づけた。


チュッと音を立て、何度も何度も繰り返す。


廊下に唇が触れ合う音が響き渡り、気付くと体は壁際に追い詰められていた。



果てしなく続くキスに目眩すら覚える私に、ふと体を起こした倉橋君が甘い瞳で問う。



「坂下さん。俺を、好き?」


「え……うん。もちろん、だよ?」


少し息を乱した私がそう答えると、倉橋君はふるふると首を振る。



「ちゃんと答えて。好き?」


「……好き、だよ?」


そう答えたのに。


倉橋君はとても寂しそうな、痛みを我慢したような顔をして、再び唇を合わせてくる。


今度は深く深く、私の奥まで入って来るかのようなキスだった。
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