キスの相手はあなただけっ!!




俺は泣いていた。
自転車をこぎながら。
ふいても、ふいても
涙が次から次へと
出てきた。
だめだ。
どうしたんだろう。
俺。
時澤のこと考えると
涙がとまらない・・・。


「聖夜っ!」

後ろから名前を呼ばれた。
俺は止まった。
誰だかわかったから。
涙も綺麗にふいて。

「時澤・・・。」

時澤は走ってきたみたい。
ハァハァいっていた。
なんでだよ!
付き合ってる彼氏と
一緒に帰ればいいだろ!?
なんで追いかけてくるんだよ!?

「あの・・・その・・・
さっきのは・・・。」
「あー・・・。
付き合ってんの?」
「え?」

え?ってなんだよ!
付き合ってんだろ?!
なんだよ!
とぼけんなよ!
あんな抱き合ってる姿みたら
誰でも付き合ってるって
思うし!

「いや。付き合ってなんか・・・。」
「別に言い訳しなくていいから。」

あ・・・。
つい、きついことを言ってしまった。
時澤はしょぼんとしている。
だって付き合ってること
隠されたくないし・・・。

「言い訳じゃないよ!
本当にちがうもん!」

だから隠すのはやめろっつってんだよ!

「じゃあなんでそんなに
おこってんだよ!!!」

あぁ・・。
やってしまった。
なんてひどいことを。
俺は最低。
どうしよう。
時澤泣いてる・・・。
だからっていまさら
あやまれないし・・・。

「それは・・・

聖夜が好きだから!!」

はぁっ!?
すすすすすす・・・・すきぃぃぃぃぃ?
時澤が・・・
俺を・・・好き?
でもいまいち信じられない。
時澤は顔を真っ赤にして
泣いていた。

「あ・・・。
えと・・・」

恥ずかしそうに
もごもごしている時澤。

「それ本気?」

俺は聞いた。
本気かどうか。

「えっと・・・。
うん。」

なっ!なに?!
本気だったか!
しかも普通にうんって・・・////
どうしよう。
返事できねーし。
もういいや。

俺は時澤には悪いけど
そのまま帰った。

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